― 強度計算・疲労・はめあい・トラブル防止まで ―
はじめに
回転軸・シャフト設計は、
一見シンプルに見えて、実はトラブルが最も起きやすい設計分野 です。
- 折損
- たわみ過大
- 疲労破壊
- はめあい不良
- キー部の破壊
これらの多くは、
「部分最適な設計」になっていること が原因です。
本記事では、
軸設計に必要な知識を一か所に集約したハブ記事 として、
- 基礎理論
- 実務での計算
- よくある設計ミス
- 関連記事・ツール
を体系的に整理します。
1. 軸設計で必ず考えるべき力の種類
軸には通常、次の力が同時に作用します。
- 荷重による 曲げ
- 動力伝達による ねじり
- 自重・歯車反力による せん断
- 繰返し負荷による 疲労
軸設計では、まず曲げ応力の評価が基本となります。
断面二次モーメントや断面係数の考え方を誤ると、
たわみ過大や疲労破壊につながります。
▶ 曲げ応力の求め方と断面二次モーメントを例題付きで解説
曲げ応力の求め方|断面二次モーメント一覧と合成応力計算【設計トラブル事例付き】
👉 曲げ・ねじりを個別に見るだけでは不十分です。
▶ 曲げ+ねじりの合成応力(ミーゼス応力)とは?軸設計で必須の計算方法と実務での注意点をわかりやすく解説
2. 曲げ応力・ねじり応力の基本
曲げ応力

ねじり応力

回転軸ではトルクによるねじり応力の評価が不可欠です。
特に起動時・異常時トルクを見落とすと、
設計上は問題なくても実機で折損します。
▶ ねじり応力とトルクの関係を軸設計向けに詳しく解説
ねじり応力とトルクの関係とは?|軸強度計算の基本式と設計の注意点をわかりやすく解説
これらを 同時に受ける場合 は、次項の合成応力で評価します。
3. 合成応力(ミーゼス応力)による評価

✔ 個別にOKでも
✔ 合成するとNGになるケースは非常に多い
実務で最も多い設計ミスが、
「曲げはOK」「ねじりもOK」なのに軸が折れるケースです。
原因は、曲げとねじりを個別に評価してしまうこと。
実際には合成応力(ミーゼス応力)で評価する必要があります。
▶ 曲げ+ねじり合成応力(ミーゼス)の考え方と計算方法
曲げ+ねじりの合成応力とは?軸設計で必須の計算方法と実務での注意点をわかりやすく解説
4. 軸設計で見落とされがちな重要ポイント
✔ キー溝・段差による応力集中
✔ 起動時・非常時トルク
✔ 疲労寿命(SN曲線)
✔ はめあいによる拘束・応力増加
▶ キー設計の許容トルク計算
▶ 金属疲労とSN曲線
5. よくある軸設計ミス事例
- 曲げのみ評価 → 折損
- ねじりのみ評価 → キー破壊
- 静的OK → 疲労NG
- はめあい無視 → クラック発生
6. 実務で役立つ設計ツール・資料
これらの計算を毎回手計算するのは非効率で、ミスも起きやすくなります。
本記事で解説した内容をそのまま使える
✔ 曲げ応力
✔ ねじり応力
✔ 合成応力(ミーゼス)
✔ OK/NG判定
✔ 必要最小軸径
を自動算出できるExcelツールも用意しています。
▶ 設計者向け 曲げ+ねじり自動計算Excelツール
機械設計者のトルク計算ツール
- 曲げ+ねじり合成応力 Excel自動計算ツール
- 軸設計チェックリスト
- 設計根拠説明テンプレート
まとめ
- 軸設計は 総合設計
- 曲げ+ねじりは 必ず合成応力で評価
- 応力集中・疲労・はめあいを軽視しない
- ツール活用で「設計品質」と「再現性」を上げる

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