溶接図面を見ると、
「この記号は何を意味しているの?」
「左側と右側の違いは?」
と悩んだことはありませんか?
溶接記号は一度覚えれば難しくありませんが、
種類が多く、読み方を体系的に学ばないと迷いやすい項目です。
今回は JIS(JIS Z 3021)をベースにした溶接記号の基本ルールと、
読み方一覧・実務での判断ポイントまで、分かりやすくまとめます。
1. 溶接記号とは?(図面で何を指定する?)
溶接記号とは、図面上で
- 溶接の種類(すみ肉・突合せ・開先形状)
- 溶接する位置
- 溶接量(脚長・のど厚)
- 溶接方法(アーク、TIG、CO₂など)
- 補助条件(全周・片側・仕上げ条件)
などを 記号で簡潔に伝えるための仕組みです。
2. 溶接記号の基本構成(まずここを理解する)
溶接記号は 基線(リーダー線)と矢 で構成されます。
←――― 基線 ―――→
|
矢(どちらを溶接するか示す)
✔ 左側(矢側)
矢が指す側の面に溶接をする
✔ 右側(反矢側)
矢とは反対側の面に溶接をする
※ 溶接記号の“上下”で意味が変わるので注意。
3. 基本溶接記号(最重要一覧)
JISで使われる標準的な記号は以下の通り。
| 記号 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| ▽ | すみ肉溶接 | L形の溶接。脚長で指定(例:6) |
| ─V─ | V形開先 | 一般的な突合せ溶接 |
| ─Y─ | Y形開先 | 片側のみ開先 |
| ─I─ | I形溶接 | 開先なしの突合せ |
| ─U─ | U形開先 | 厚板向け |
| ─J─ | J形開先 | 片側だけ曲面開先 |
| ● | スポット溶接 | 点溶接を指示 |
| ⊙ | プラグ溶接 | 穴埋め溶接 |
| ⌒ | シーム溶接 | 連続溶接 |
4. 補助記号(仕上げ・全周・溶け込み)
実務でよく使う補助記号は以下です。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ○(円) | 全周溶接(360°一周) |
| —(横棒) | 加工仕上げ(表面を削る) |
| g | 溶け込み深さ(例:g3=3mm溶け込ませる) |
| C | キャップ仕上げ |
| M | 機械仕上げ(機械加工で整える) |
5. 溶接記号の読み方(例で理解)
■ 例①:すみ肉溶接(脚長6mm)
6
← ▽
→ 矢側に 脚長6mmのすみ肉溶接 を行う
■ 例②:V開先で片側溶接
V
←
→ 矢側だけ開先して溶接する
■ 例③:全周すみ肉溶接(脚長5mm)
○
5
← ▽
→ 全周溶接 + 脚長5mmのすみ肉
■ 例④:突合せ溶接(I形)、反対側
I
←
→ 反矢側の面を突合せ溶接
6. 実務でよく使う溶接記号の一覧(保存版)
| 種別 | 記号 | 読み方 | 用途 |
|---|---|---|---|
| すみ肉 | ▽ | すみ肉溶接 | L形の角部 |
| 断続すみ肉 | ▽――▽ | 断続溶接 | 長さ指定が必要 |
| 開先(V) | ─V─ | V開先 | 厚板・強度必要 |
| 開先(Y) | ─Y─ | Y開先 | 片側加工 |
| 開先(U) | ─U─ | U開先 | 高強度・厚板 |
| 突合せ(I) | ─I─ | I形溶接 | 薄板 |
| 全周 | ○ | 全周溶接 | 360° の封止 |
| スポット | ● | 点溶接 | 薄板の組立 |
| プラグ | ⊙ | プラグ溶接 | 穴埋め |
| シーム | ⌒ | シーム溶接 | 気密性が必要 |
7. 設計・製造で間違えやすいポイント
✔ ① すみ肉「脚長」と「のど厚」は違う
- 脚長(a)=設計図でよく使う
- のど厚(t)=強度計算で重要
✔ ② 開先角度が記載されないことがある
図面の側面図で示される場合も多い。
✔ ③ 全周溶接の指示漏れが多い
円筒部品などでよくトラブルになる。
✔ ④ 材質により溶接方法を変える必要がある
SS材、SUS、アルミで異なる。
8. まとめ
- 溶接記号は 種類・位置・量・仕上げ を示す記号
- ▽ はすみ肉、V は開先、I は突合せ
- ○ は全周溶接、g は溶け込み
- 矢側と反矢側で意味が変わる
- 正しく理解すれば設計ミスを大幅に防げる
「すみ肉溶接の強度計算の基礎はこちら」
→ /fillet-weld-strength


コメント