機械設計において避けて通れないのが 基準寸法とはめあいの選定。
軸と穴のすきま、しまりの度合いは、部品の寿命、組立性、精度に大きく影響します。
しかし、設計初心者は
「H7/h6 と H7/g6 の違いは?」
「どのはめあいを選べばいい?」
と悩みがちです。
この記事では、基準寸法の考え方から、はめあいの種類、
設計での選び方まで 分かりやすく・具体的に・実務向けに 解説します。
1. 基準寸法とは?(設計の出発点)
基準寸法とは、穴や軸が持つべき“目標となる寸法” のこと。
例:
- 10mm の軸
- φ40 の穴
- ピン径 6mm
この数値自体には公差はありません。
基準寸法に“はめあい公差”を追加して、実際の加工寸法域が決まります。
2. はめあいとは(穴と軸の寸法差で決まる)
はめあいとは、
穴と軸の寸法差(すきま or しまり) によって
組立のしやすさ・固定力・精度を決める考え方です。
はめあいの分類
- すきまばめ(Clearance Fit)
- 中間ばめ(Transition Fit)
- しまりばめ(Interference Fit)
3. 公差記号(H7, h6, g6など)の意味
公差記号は
アルファベット(基準位置)+数字(公差等級)
で構成されています。
3-1. アルファベット:基準位置
| 記号 | 説明 |
|---|---|
| H | 穴の下限が 0(基準寸法どおり) |
| h | 軸の上限が 0(基準寸法どおり) |
| g | 軸が基準寸法より少し小さい位置 |
| p/s | 軸が大きい位置(しまりばめ) |
3-2. 数字:公差等級(精度の厳しさ)
| 等級 | 精度 |
|---|---|
| 6 | 精密 |
| 7 | 一般 |
| 8 | 粗い |
4. H7/h6・H7/g6・H7/p6 の違い(10mmの例)
10mmのはめあいを例に具体的な数値を示します。
| はめあい | 穴寸法 | 軸寸法 | はめあい結果 |
|---|---|---|---|
| H7/g6 | 10.000~10.015 | 9.990~9.998 | すきま 2~25 µm |
| H7/h6 | 10.000~10.015 | 9.997~10.000 | 0~18 µm(ほぼゼロすきま) |
| H7/p6 | 10.000~10.015 | 10.012~10.020 | -20~3 µm(軽い圧入) |
5. はめあいの選定方法(実務で使える基準)
ここが最重要ポイントです。
✔ 5-1. 組立性を重視する → H7/g6 or H7/h6
- ベアリング外輪の挿入
- 軽く回す軸
- 繰り返し分解する部品
● H7/g6:すきまが欲しい(軽い回転・組立性重視)
● H7/h6:ゼロすきまにしたい(ガタをおさえたい)
✔ 5-2. 回転部の精度が重要 → H7/h6
- シャフトとハウジング
- ギアと軸
- 精密位置決め機構
軸ブレを防ぎ、真円度を維持しやすい。
✔ 5-3. 強固な固定が必要 → H7/p6 or H7/s6
- モーター軸へのギア圧入
- プーリ・カップリングの固定
- 回転衝撃のある箇所
● H7/p6:軽い圧入
● H7/s6:しっかり圧入
6. はめあい選定のチェックリスト(保存版)
✔ 求める条件は?
- 回転する?
- 固定する?
- 精度は必要?
- 分解する?
✔ 組立は容易にしたい?
すきまばめ(H7/g6)
✔ ガタをなくしたい?
ゼロすきま寄り(H7/h6)
✔ 圧入固定が必要?
H7/p6 または H7/s6
✔ 寸法公差を厳しくするとコスト増
最小限の精度指定にする。
7. 設計初心者が悩みやすいポイント(Q&A)
Q:H7 と H8 の違いは?
A:精度の厳しさ。7 は一般精度。8 は少し粗い。
Q:軸基準方式は使う?
A:日本の機械設計では穴基準方式(H)を使うのがほぼ標準。
Q:どの公差等級を選べばよい?
A:迷ったら 穴7級・軸6級(H7/h6)が基本。
「この部品が溶接構造の場合は、溶接記号の読み方も合わせて押さえておくと理解が深まります。」
→ 溶接記号記事
8. まとめ
- 基準寸法は目標寸法であり、
- はめあい公差を与えて実際の寸法域が決まる
- 公差記号は「アルファベット(基準位置)+数字(等級)」
- H7/g6・H7/h6・H7/p6 は代表的なはめあい
- 用途に応じて適切に選定することで
ガタ防止・精度確保・組立性向上を両立できる
「面粗さ記号の読み方はこの記事にまとめています」
→ /surface-roughness-meaning


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