機械図面でよく登場する 「H7」「g6」。
はめあい(フィット)を指定するときに使われる公差記号ですが、
初めて見ると「何を表しているのか分かりにくい…」と感じる方も多いはず。
この記事では、H7/g6 の意味を
“図面初心者でも理解できるレベル” で
かつ 実務で役立つ深さ で分かりやすく解説します。
1. H7 g6 は「穴(H7)」と「軸(g6)」の公差を組み合わせたはめあい
まず結論です。
✔ H7/g6 とは
穴公差:H7
軸公差:g6
を組み合わせた すきまばめ(or しまりばめに近い精密なすきまばめ) のことです。
H7 の「H」は穴側の基準位置、
g6 の「g」は軸側の基準位置(はめあい位置)を表します。
2. H7(穴)と g6(軸)の意味を分解して理解する
◆ 2-1. 公差記号の構成
公差記号は
アルファベット(基準位置) + 数字(公差等級)
で構成されます。
例:H7 → H(基準位置)+7(等級)
g6 → g(基準位置)+6(等級)
◆ 2-2. アルファベットの意味「基準位置」
● 穴の基準位置(A〜Z)
H は穴の基準位置の中で“下限が 0(±0)”の位置。
→ 穴寸法は基準寸法ピッタリか、そこからプラス方向にずれる。
例:H7(10H7 の場合)
- 下限=0
- 上限=+公差値
● 軸の基準位置(a〜z)
g は 基準寸法より少しマイナス側にずれる(−方向) 位置。
→ 軸径は基準寸法よりわずかに細い
例:g6(10g6 の場合)
- 上限=マイナス
- 下限=さらにマイナス側
◆ 2-3. 数字の意味「公差等級」
数字の 6 や 7 は 精度の厳しさ を表します。
- 小さい数字 → 精密
- 大きい数字 → 精度ゆるい
例:
- 6級:精密
- 7級:一般精度
- 8級:少し粗い
3. H7/g6 が意味するはめあい状態(直感的に)
✔ H7(穴)は基準寸法どおり or それより少し大きい
✔ g6(軸)は基準寸法より必ず細い
つまり…
◆ 結果 → ほぼ確実に「すきまばめ」
H7 の穴は基準寸法より大きい側だけズレる。
g6 の軸は基準より細い方向にズレる。
\ 穴の方が大きいので、普通は “すきま” ができる /
4. 10mm の場合の具体例(数値で理解)
より理解しやすいように、
10mm のはめあい(10H7/g6) を例にします。
◆ 10H7(穴)
JISの公差表によると
- 下限:0 μm
- 上限:+15 μm
つまり
穴径=10.000 mm ~ 10.015 mm
◆ 10g6(軸)
- 上限:−2 μm
- 下限:−10 μm
つまり
軸径=9.998 mm ~ 9.990 mm
◆ はめあいの結果(すきま量)
最小すきま
= 最小穴 10.000 − 最大軸 9.998
= 0.002 mm(2 μm)
最大すきま
= 最大穴 10.015 − 最小軸 9.990
= 0.025 mm(25 μm)
✔ 結論:わずかに締まったりはしない「すきまばめ」
非常に滑らかに回転する箇所、軽い圧入、軽い組立に向く。
5. H7/g6 が使われる用途
✔ 滑らかな回転軸(ベアリング外輪の挿入部など)
✔ 位置決め精度が必要だが、固く締めたくない場所
✔ 分解組立が頻繁な機構
✔ 軽荷重のシャフト・ピン
6. 他のはめあい記号との違い
| 記号 | 種類 | 備考 |
|---|---|---|
| H7/g6 | すきまばめ(精密) | 一般機械設計で多用 |
| H7/h6 | ゼロすきま近い | 軽い圧入〜片手挿入 |
| H7/p6 | 軽しまりばめ | モータ軸・ギアの圧入など |
| H7/s6 | しまりばめ | 固定が強い部品に使用 |
「H7/h6 と H7/g6 の違いを詳しく比較した記事はこちら」
→ /h7h6-h7g6-difference
7. まとめ
- H7/g6 は「穴H7+軸g6」の組合せ公差
- Hは穴の下限が0、gは軸がマイナス側
- 7級は一般精度、6級は精密
- はめあい結果は すきまばめ(2〜25 μm)
- 軽い回転・組立性重視の用途に適する

「面粗さ記号の読み方はこの記事にまとめています」
→ /surface-roughness-meaning


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